essay

12時台に500円弱のエクセルでごはんを一口

 どこの店とはもちろん言わないが、ある商品をお取り置きしていただいた際に、「なんじころがよろしいですか」と聞かれたので、「12時台でしたら」と答えたらこれがなんと通じない。「12時15分ですか、12時半ですか」と繰り返される。いやいやだから、こちらは遠慮の意味も含めて12時台ならなんじでもいいので、そちらのご都合のいい時刻に決めていただければと言っているのに。それともわかっていながらわざとたずねてきたのだろうか。不思議。

 もしかしたらこの話に近いことなのだが、ネットニュースを眺めていたら「500円弱」が通じなくなっているとやら。当然500円より少し下ということだが、どうも「500円+少し」という意味にとる若者が多いとか。
 「19時を回ったころ」も通じないらしい。「19時過ぎの、まあ少し余裕をもったころ」なわけで、まあ若干ひとによって感覚は違うかもしれないが、19時5分では早いように思うし、19時30分では遅いように感じる。僕だったら19時10分から15分くらいだろうか。こういった現象はおとなたちがあまりこのようないい意味であいまいな(アナログな)日本語を普段使わなくなったからなのだろうか。

 またまたエクセルばなし。送られてきたエクセルのファイルを開けてみたら、カーソルの位置がとんでもないところにあることがある。作業を終えたそのままの場所にカーソルがあるどころか、シートの下のほうの画面になっていたり、ときには見るべきシートではなく別のシートの状態で保存されていることさえある。50%くらいに縮小されていて、どうにも字が読めないよっていうことも。これってどうなんでしょう。細かすぎる話でしょうか。でも、見る側のことを考えたマナーとしてはいかがなものかと思ってしまうのです。見るべきシートのA1にカーソルをおいて保存すべし!

 定食屋でごはんをおかわりすると、「どれくらいですか」と聞かれることがある。みなさんどんな言葉を使いますか。「ふつうに」「半分くらい」「軽く」「少し」「一口」などなど。結構微妙なのね。でも、アルバイトのおにいさん、おねえさんたちには「軽く」とか「ひとくち」とかっていう言葉が感覚として理解してもらえてないように感じる。盛られたごはんの量が、あまりにもこちらの感覚とずれていて、「だったら聞かなくてもいいじゃん」ってなる。料亭や旅館のおねえさん(ほんとはおばさま)が「遠慮しないでたんとお食べください」という意味で、こちらの言葉よりも少し多めによそってくれるのとはわけが違う。

 というわけで、世間との違和感にため息をつく年の瀬なのでした。

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